クレームを減らすために行動すべきこと
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コールセンターのお仕事では避けて通れないのがクレーム対応です。クレームの大きさや頻度はさまざまあります。コールセンターで勤務するうえでクレームに対してどう対処したらよいかを事前に知っていれば、実際に対応するときに困ることはないでしょう。クレームの増大は、顧客満足の低下、オペレーターのストレスの原因となりますので、企業側からも見ても早急に解決するべき課題です。
今回はコールセンターでどのようにクレーム対応すれば、顧客満足度を高め、オペレーターが安心して勤務できるのかをお伝えします。
クレームとは
クレームとは元の英語claimでは「要求する・主張する」という意味であり、苦情とは異なったものです。クレームとは商品やサービスに対する改善要求や権利請求を指します。一方苦情には顧客の不平や不満といった心理や感情の要素が含まれていることが特徴です。
日本ではクレーム(claim)を和製英語として、クレームと苦情を合わせて広義的な意味として使われています。本記事でもクレームとして文言を統一して紹介していきます。
クレームは、お客さまの期待値に対して、商品やサービスが下回った場合に発生します。期待しているからこそクレーム(ご意見)を伝えてくれるのです。しかし、お客さまが不平不満を感じていても、実際にクレームを伝えてくれる人は全体の約5%程度と言われています。残りの95%の人は直接的にはクレームを伝えないサイレントクレーマーになるか、利用を辞めるかということになります。 サイレントクレーマーはSNSが発達している現代では、口コミなどで不平や不満を書き込んで拡散させます。掲載先がレビューサイトなどのように自社では管理できない媒体であったり、フォロワーを多数持つインフルエンサーであれば、多くのユーザーが目にすることになります。本来なら集客の導線となる口コミサイトや広告となるSNSが、逆に自社にとってマイナスに働いてしまいます。
クレームを直接伝えてくれたお客さまに対応するときは、同じような不満をもった95%のサイレントクレーマーがいることを意識する必要があります。 不平不満をもったお客さまに真摯に向き合い、相手の感情に寄り添いつつ、企業のルールに沿って柔軟に対応することが求められます。それが会社のブランドイメージが向上し、利益に繋がり、オペレーターの満足を満たすことができます。
クレームの原因
クレームに繋がる要因として、大きく分けて3つあります。発生原因によって対応方法を調整し、適切に変えていく必要があります。
企業側の問題
商品やサービスの品質不良、接客態度が悪いといったクレームです。お客さまの都合ではなく、企業側が全面的に改善する必要がある問題です。 商品の欠陥や賞味期限切れ、数量不足、サイズや色が違う、サービスの記載内容と違う、約束不履行などが品質不良に当たります。無愛想だった、ものの言い方が横柄、失礼な言葉づかい、態度や挨拶がぞんざい、要望を無視されたなどお客さまの自尊心を傷つける言動、行動が接客態度が悪いと言われる原因となります。 これらは企業側に落ち度がある内容なので、全面的に向き合い、お客さまの怒りや不満を解決する必要があります。対処に成功した場合でも、二度と同じクレームが発生しないように考えましょう。
顧客側の問題
お客さま側に問題がある場合でも、クレームは発生します。サイズの間違い、イメージ違い、説明書の未読によるミス、お客さま自身の聞き間違いなどです。これらはお客様が間違えたと捉えるのではなく、事前の説明不足や配慮のなさから誤解させた企業側にも落ち度があると考えるべきです。 「なぜお客さまが間違われたのか」を追求することで更なる商品やサービスの改善点を見出すことができます。
企業と顧客の認識違い
意外と焦点を当てられていないのが、このパターンです。企業の価値観と顧客の価値観が食い違い、トラブルになることもあります。「社内用語を使う、わかりにくい言葉を使う」など企業側では当たり前としていたシステムやルールを押し付けることで不満に感じることがあります。 顧客の側の問題と勘違いして捉えやすいので、特に注意して、同じことが発生しないよう対策を行うべきです。
クレームの対処方法
クレームを対応するうえでポイント4つあります。クレームはお客さまの声、期待値のあらわれです。お客さまが何を期待されているのか、何に怒っているのか、真摯に聞くことが大切です。お客さまの声であるクレームを社内で共有し、サービスや商品の改善に活かしましょう。しっかりと対応すること信頼を得て、顧客満足度を上げていくことができます。
お客さまの話に耳を傾けること
クレームの電話がかかってきた時点で、お客さまは怒っていることがほとんどです。クレーム対応の基本は、まずお客さまの声に耳を傾けることです。話しを聞くことで7・8割くらい解決に向かうことができます。 お客さまが「何に怒っているのか」「何が問題なのか」を見極めましょう。相槌やクッション言葉、間の取り方を使い分けて、お客さまに真摯に対応することができます。またお客さまにこちらが話を理解していると感じてもらえるよう、会話を要約して返すことも有効的な手段です。「オウム返し」をすることで、お客さまとオペレーター間で認識の違いを防ぐこともできます。さらには強い怒りの感情があったお客さまでも「オウム返し」を続けていくことで冷静になっていくでしょう。お客さまが冷静になれば、本当に主張したかったことを聞き出すことができます。
クレームは自分自身に向けられた言葉ではないこと
日々電話対応していくなかで、クレームはオペレーターに少なからず大きなストレスを与えます。謝罪をし続けることで自分自身がお客さまを怒らせたのではないかと感情移入してしまい、自己嫌悪に陥ってしまうことがあります。 しかしクレームはあくまで企業の商品やサービスに対する意見です。オペレーターは「クレームは自分自身に向けられた問題ではない」と考えることが大切です。なかには不満を伝えたいだけ、特別扱いをしてほしいだけの方もいらっしゃいます。 冷静に対応することで、感情的になっているお客さまを落ち着かせることができます。 コールセンターの管理者はクレーム対応したオペレーターの対応内容やメンタル面をケアすることも忘れないようにしましょう。
お詫びの言葉と感謝の言葉を伝える
クレームを受けたら、まずはクレームの内容ではなく、お客さまに「不快な思いをさせてしまったこと」に対してのみお詫びします。事実関係がわからない状況で全面的に非を認めてしまうと、後々「謝ったのだから、補償しろ」と自社に不利益なることがあります。自社に非があるかわからない段階では、お客さまに不快感や不満を与えてしまったことを謝りましょう。 事実を確認し、明らかに企業に責任があった場合は、より誠意を込めて謝りましょう。お客さま側に勘違いがあったとしても、お客さまを不快な思いをさせたことに謝りましょう。謝罪することでお客さまに落ち着いてもらう時間を確保する意味でも有効的です。 最後に意見を伝えてくれたことに感謝の言葉を伝えましょう。サイレントクレーマーが95%いるなかで、クレームを言ってくれることは企業にとって非常に有益なことです。お客さまに感謝の気持ちを伝えたうえで、クレームを活かし、最高の商品、サービスの提供を追求しましょう。
お客さまの求めていることを解決する
お客さまが何を求めているのかをくみ取り、事実関係を確認したら、解決案を提示する必要があります。 解決案や代替案を提案する前に、提示する内容が法律や自社のルールに沿っているかを確認する必要があります。法律の範囲を超えた要求には応える必要がありません。マニュアルや自社のルールを確認し、提示できる解決案を伝えましょう。上司が対応するほうが適切な場合は、上司に引き継ぐようにします。
オペレーターが提示できる案件であれば、お客様の心情に寄り添い最適な解決案を提示しましょう。お客さまが求める対応ができない場合でも、メリットとなる代替案を提示して、納得してもらえることもあります。お客さまが求めていることを正しくくみ取り、多くの代替案を持っていれば安心です。
コールセンターの管理者は、お客さまが不快に感じるであろうこと予測し、マニュアルにどのような解決策があるのか多くの選択肢を提示することが必須です。スピードを持って解決することが、顧客満足度をあげ、オペレーターのストレス軽減につながります。
クレームを減らすためにセンターが取り組むべきこと
クレームが起きた時の対応方法だけでなく、事前にクレームを減らすためにセンターが取り組むべきことをまとめました。 オペレーターだけでなく、組織全体で対策する必要があります。日ごろから確認しておくことで、クレーム少なくすることができます。
組織的な問題
- マニュアル、トークスクリプトはクレームに対応できているか
- 教育担当者のスキルや教育方法は適切か
- 研修の質と量は充分か
- クレームが起きた時の報告システムはできているか
- オペレーターはデビュー後も継続して教育できているか
- クレームに関して話し合う機会があるか
オペレーターの問題
- 企業の目的やルールを理解しているか
- 聞き方、話し方は適切か
- 自分の感情をコントロールできているか
- 報告・連絡・相談できているか
まとめ
クレーム対応はストレスがかかることは間違いありません。しかし、真摯に対応することでお客さまを企業のファンにすることができる機会でもあります。企業とオペレーターで協力して、真摯に解決することを目指す必要があります。ストレスがかかることでもポジティブに捉えたほうが解決できることも多いでしょう。
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