コールセンターを外注するメリット

  • 社内の電話対応業務が多く、本来の業務がなかなか進まないときの解決方法として、コールセンターを設置するという選択肢があります。今回は自社でコールセンターを設置する場合と、外注でアウトソーシングする場合のメリットやデメリット、費用の相場に関して紹介していきます。コールセンターの設置に関して、悩んでいる方やすでに設定したけれど、運営がうまくいっていない方の参考にして頂ければと考えています。

    コールセンターの必要性

    以前は顧客や見込み客との接点はほとんどが営業や代理店が担っていました。しかしWebやメール、チャット、SNSなどの通信ツールの発達でコールセンターは顧客との関係性を深める部署として、重要性が見直されています。コールセンターは顧客や見込み客と直接つながることで顧客満足度を高め、利益の拡大、企業のブランドイメージの向上の役割を担っています。

    コールセンター業務にはインバウンドとアウトバンドの2種類があります。インバウンドは顧客からかかってきた電話に応対することが業務内容です。かかってくる電話の内容は問い合わせやクレーム、テクニカルサポートなどです。アウトバンドは企業から積極的に顧客へ電話をかけます。自社製品やサービスを売り込むための営業電話をかけます。

    顧客の声が直接届くコールセンターでは企業の顔となるだけではなく、クレームを含めて顧客から声を活かせば、顧客満足度をあげ、企業のブランディングに役立てることができます。コールセンターを設置している業種はさまざまあり、一般的には通信販売ですが、他にもサービス業、金融や保険業、旅行業、流通、小売、運輸業があります。ほとんどの業種においてコールセンターがあると言っても過言ではありません。

    インハウスとアウトソーシングの費用の違い

    コールセンターをインハウスにする場合にかかる費用を紹介します。

    コールセンターをインハウスにする場合の費用

    設備、システム費

    場所代、通信費、工事費、電話機費用、CTIなどのシステム費、OA機器費用 維持費やライセンス料がかかることもあります。

    人件費

    人件費、採用費、教育費、研修費、マネジメントコスト、福利厚生費など 時給の相場は1200~2500円です。スキルによって変動してきます。センター規模が大きくなれば相応に増えていきます。

    次にコールセンターをアウトソーシングする場合にかかる費用を紹介します。委託する企業によって料金は変わりますが、料金体系ごとにかかる費用と初期費用の相場を把握しましょう。

    コールセンターをアウトソーシングにする場合の費用

    インバウンド

    インバウンドの主な料金体系は2つあります。月額固定型と従量課金型です。それぞれの料金体系について詳しく見ていきましょう。

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    月額固定型

    月額固定型とはその名の通り、月々一定の金額で支払う形の料金プランです。専任のオペレーターが担当し、あらかじめまとまった研修での契約となるため、1件当たりのコール単価が安く抑えられるのが特徴です。ただし件数の上限を超えてしまうと、超過した分の料金が別途加算されます。超過分は割高になることがありますので、注意して決めましょう。月額10~30万円が相場です。企業によっては、平日に一定のコール数を受電するときに活用しているようです。

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    従量課金型

    従量課金型とは対応したコール数によって費用がかかってきます。受信がなければ、料金が発生しないため、コール件数が少ない場合には「月額固定型」より費用を抑えることができます。費用の相場としては1コールあたり200円から1000円程度ですが、内容の専門性や対応時間によってはさらに単価が高くなることがあります。 予想されるコール件数が少ない場合や、夜間休日の緊急連絡窓口として従量課金型の方が費用を抑えられることもあります。

    アウトバウンド

    アウトバウンドで使われている主な料金体系は「成果報酬型」です。コールした数にかかわらず、獲得したアポイントや商品の受注数を目標数値として、発注します。成約するごとに料金が発生しますので、1件当たりの料金単価は高く設定されています。 インバウンドで使われていることもあります。

    それぞれの料金体系で共通して初期費用と月額利用料などのランニングコストが発生します。

    初期費用は業務導入時に商品やサービスをオペレーターにレクチャーするときに必要となります。研修やマニュアル作成の費用が含まれており、相場は1万5000~5万程度と依頼する業務によって金額が変わってきます。最近では、ほとんどの企業がトークスクリプトを無料で作ってくれるサービスを始めています。

    月額利用料は施設利用料(場所代)として加算される費用です。委託業務の難易度によって単価が変わってきます。月額利用料は「月額固定型」より「重量課金型」の方が安く設定されていることが多く、1万から2万円程度かかります。 また専門的な知識を要するテクニカルサポートや金融企業の場合や規模が大きくSVが必要となる場合はさらに費用が加算されます。各社でオプションとして付けられるサービスが異なるので、見積もりを依頼して検討しましょう。

    インハウスとアウトソーシングで抑えられる費用

    コールセンターをインハウスで自製した場合多くの費用がかかるため、多くの企業がアウトソーシングにメリットがあると考えています。業務の一部を委託することで代行費として一つにまとめ、無駄なコストを削減することができます。また費用の面だけではなく、自社で導入する場合、機器の準備や人員の確保、それに費やされる時間がかかってしまいます。コールセンターを委託することで運営や管理に要する労力を削減し、立ち上げにかかる時間も大幅に短縮することができます。また閑散期や繁忙期に合わせて柔軟な対応が可能となります。 アウトソーシングすることで最大のメリットは設備、システム費や人件費などの固定費を変動費にできることでしょう。

    アウトソーシングした場合のメリットとデメリット

    コールセンターを内製したときにかかる費用は数百万円から1千万円の初期費用がかかります。費用の面では、コールセンターをアウトソーシングすることは大きなメリットとなりますが、他にもどんなメリットとデメリットがあるのか、考えていきます。

    メリット

    スピーディにコールセンターを設置できる

    コールセンターを新設する場合、準備に相当な時間がかかります。場所の確保や機材の準備、人材の確保、教育に至るまで自社で行うため、多くの時間をかけて準備していく必要があります。また開設出来てもノウハウが少ないため、軌道に乗るまでも長い時間を要するでしょう。

    コールセンター外注サービスであれば、簡単な案件ならば数日中にサービス利用開始することができます。すでに経験豊富な優秀なスタッフが揃っているため、コミュニケーションスキル等を活かして顧客満足度をあげることもできるでしょう。電話対応に関するノウハウをすでに持っているので、ビジネス改善のチャンスにもなり得ます。 必要なマニュアル、トークスクリプトの作成もサポートしてもらえるので、要望を伝えるだけで安心して任せることができます。

    高品質な顧客対応

    コールセンターを設置する理由に、顧客満足度を上げるためと考えている企業は少なくありません。電話対応業務では高いコミュニケーションスキルと様々なお客さまに対応できるノウハウを求められます。コールセンターをアウトソーシングすることでお客さま対応をすでにノウハウを持ったプロに任せることができます。自社で新たに人材の確保、育成する手間が省けます。 簡単な電話応対だけでなく、クレーム対応やテレフォンアポイント、電話によるアンケートや市場調査に対応することもできます。コールセンター運営実績がある会社なら、電話対応スキルに長けた優秀なスタッフが揃っており、研修制度も充実しているので、顧客満足度を上げ、自社のファンを作ることもできるでしょう。

    業務負担を減らせる

    近年、幅広い分野の業務を行う企業は増えていますが、優秀な人材不足が大きな課題となっています。一人が多くの業務を抱えていることが負担になっている要因でもあります。働き方改革で、働き方はどんどん変わっていますが、現場では一人ひとりの仕事量を減らすのは容易ではありません。 そこで電話対応業務をアウトソーシングすることで、コア業務に集中選択できることで、働き手が業務の優先順位を決め遂行することができるようになります。今までは、電話が鳴ると何か他の業務を行っていても、仕事を中断し対応する必要がありましたが、アウトソーシングを利用することでそのわずらわしさから逃れることができます。

    また、お客様相手やクレーム対応といった、時間が必要な対応もスキルの高いスタッフに任せることができるでしょう。

    デメリット

    セキュリティ面のリスク

    アウトソーシングを導入するにあたって、機密情報を提供、共有しなければなりません。 社内の業務をアウトソーシングすることは、情報が漏洩するリスクも少なくありません。 コールセンターを内製することでセキュリティリスクをなくせるわけではありませんが、委託することで不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。

    お客さまのクレジットカード情報や個人情報が漏えいすると、賠償責任が課せられ、社会的信用も失墜するでしょう。アウトソーシング先のセキュリティ管理の施行状況を具体的に管理することは難しく、常に情報漏洩の危険性と隣り合わせの状況に置かれます。 コールセンター代行会社はセキュリティの確保に力を注いでいますが、各社によって対応方法は異なります。委託会社の委託先企業の業務体制や情報管理、セキュリティ面についてしっかりと確認しておくことがポイントになります。

    臨機応変な対応が難しい

    直接電話でお客さまと対応するコールセンターは、企業の顔でもあります。 コールセンターの外注業者は運用のノウハウを持っているので、トラブル発生時にある程度の対応が期待できますが、対応が悪かった場合に自社のイメージの悪化につながる可能性もあります。自社の管理下にあるわけではないので、リアルタイムでお客さまとの対話内容や反応を知ることは難しいでしょう。

    またお客さまと対応するスタッフは外部企業の人材のため、自社の方針や理念を理解しているかどうかも重要です。自社社員であれば、即時対応が可能な内容でも、アウトソーシングを行っている場合、時間を必要とすることもあるでしょう。 委託会社を選定するにあたって導入実績とそれに伴う信憑性を確認する必要があります。導入実績が多ければ、電話対応の豊富なノウハウと経験があるオペレーターを揃えているでしょう。導入実績を比較し、客観的に検討しましょう。

    まとめ

    今回はコールセンターの必要性と、インハウス、アウトソーシングした場合にかかる費用、アウトソーシングのメリットデメリットについて紹介しました。 どのような種類の業務を委託するかによって必要な知識、人員が変わってきます。どの時間帯の対応を依頼するかによってもアウトソーシングの費用は大きく変わってきます。 コールセンターは「会社の顔」となって、お客さまと直接対応します。費用も重要ではありますが、コールセンターを設置する目的である顧客満足度を高められるかという視点で委託会社を選びましょう。 「スタッフの品質」「実績」「コールセンターの規模」「通話録音が確認できるか」「プライバシーマークの取得」のポイントで気になる代行会社に見積りを依頼して、比較検討することをおすすめします。